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【感想】藤崎実、徳力基彦『顧客視点の企業戦略』

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顧客視点の企業戦略 -アンバサダープログラム的思考-

藤崎実さんと徳力基彦さんが「アンバサダー・マーケティング」に続く、新作を発表されました。「顧客視点の企業戦略 -アンバサダープログラム的思考-」です。

著者の藤崎さんは広告会社のクリエイティブディレクターを経て、アジャイルメディア・ネットワークに入社。大学の非常勤講師をされたり、大学院博士課程(2017年現在)で研究をされたりしています。徳力さんはブログを活用したマーケティング活動や執筆連載を行われているアジャイルメディア・ネットワーク取締役CMO ブロガーです。

この本を読むと、「企業がファンと一緒になって課題を解決したり、マーケティングを行ったりする方法論や事例(以下のURLから引用)」を学べます。

【関連記事】

▼広告クリエイターこそ「顧客視点」のコミュニケーション設計に向いている
https://www.advertimes.com/20170330/article247375/

 

【今回紹介する書籍】

顧客視点の企業戦略 -アンバサダープログラム的思考-
藤崎実 徳力基彦

4883353923
宣伝会議 2017-03-01
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本書で紹介されている事例

【章立て】

  • はじめに 「新たなる現実」を受け入れて、次へ向かう指標としての顧客視点
  • 顧客視点がないと「マーケティング」ではない
  • マーケティングを顧客視点で組み替える
  • 企業の目的は「顧客を創造する顧客」の創造である
  • 顧客と一緒にマーケティングする
    • 実践レポート アンバサダーの体験設計(寄稿:上田怜志)
  • アンバサダーが企業にもたらす変化
  • 顧客視点経営がビジネスを変える

本書の概要

筆者(片岡)が本書で最初に気になったのは、

「高度経済成長期のマス・マーケティングの成功体験と顧客視点を重視する価値観という二つの世界観のギャップは、多くの企業担当者を「板挟みの状態」に追いやります。(No.451/3554)

という点でした。

マス・マーケティングは新規顧客の獲得を重視しています。一方、→ソーシャルメディアを活用したアプローチでは、既存顧客を重視している違いがあります。

高度経済成長期以降にマス・マーケティングが重視されてきた理由として、「一般的なビジネスの常識としては、新規顧客を獲得するコストよりも既存顧客を維持するコストの方が安い」からと考えられます。「自社のシェアを如何にして広げるか」を重視している場合は、マス・マーケティングを行うメリットが大きいと言えそうです。

しかし、高度経済成長が終り、社会のグローバル化やインターネットの発展など、世の中の状況が変化してきました。マス・マーケティングの手法だけでは、物やサービスが売れにくい状況になりつつあります。著者の藤崎さんは「これからの企業発展には顧客との関係を深めることが必要」とおっしゃっています。

  • 顧客との関係を深め、
  • 実際に使ってみた人のクチコミを広げていくにはどうしたらよいのか?

という視点でのマーケティング手法を著者たちは「アンバサダープログラム」と読んでいます。

著者たちが所属するアジャイルメディア・ネットワークのサイトでは、「アンバサダープログラム」という言葉以下のように定義しています。

【アンバサダープログラムとは何か? 】

アンバサダー(Ambassador) の意味は一般的に「大使」と翻訳され、日本では著名人や芸能人などがブランド大使として任命される時に使われることが多いようです。

AMNが提唱するアンバサダーは、ソーシャルメディアの発展により、個人が情報を発信できるようになった環境変化を反映させたものとなります。

近年、自分の好きな企業やブランドについて積極的な発言や推奨を行うだけでなく、他のユーザーへのサポートや、ブランドの擁護まで自発的に行うファンの存在が注目されています。

AMNではこのように企業やブランドに積極的に関わり、自発的に発言・推奨する熱量の高いファンを、「アンバサダー」と定義しています。

※http://agilemedia.jp/ambassador/aboutより引用

本書を読むと「アンバサダープログラム」の解説、手法、事例

  • 理論
  • 手法
  • 実践例(ネスレ・アンバサダーなど)

知ることができます。

本書から学んだ事

私が本書から学んだのは大きく分けると以下の5点です。

[この本を読むとわかること]

  1. 企業の商品・サービスを心から良いと思ってくれるファンを増やす方法がわかる
  2. 企業(担当者)がファンと共に問題解決する方法がわかる
  3. ファンが無償でクチコミしたくなる仕組み作りがわかる
  4. 顧客視点とは何かがわかる
  5. 顧客と一緒にマーケティングする方法がわかる

日本で「マーケティング」というと、いわゆるマス・マーケティングを思い浮かべます。しかし、本書を読んだ結果、

  • 江戸時代は富山の薬売りのように「三方良し」の商売、お客様の間でのクチコミが重視されてきた。
  • マス・マーケティングは戦後の高度経済成長期にアメリカのやり方が取り入れられて発展。
  • 現在は江戸時代のクチコミによる商売に回帰しているような状態(著者達が言うアンバサダープログラムのような状態)

という大きな流れが見えてきました。

企業および関係者(広告クリエイターなど)がマーケティングを考える際、

  • お客様は商品・サービスをどのように使っているのか、
  • お客様はどう感じているのか、

に向き合う必要が出てきました。これからはマス・マーケティングだけでなく、企業がファンとともにサービスを作り上げ、クチコミするサイクルが生まれるアンバサダープログラムの実践が大事なのではないかと感じました。

 

その他、ネスカフェアンバサダーやじゃがりこ関連の「じゃがり校」の取り組みなど、企業が取り組んでいるアンバサダープログラムの実践例が複数紹介されています。実践例については、ITmediaオルタナティブ・ブログに後日、書評を公開して、ご紹介できればと考えています。

まとめ

江戸時代は近江商人の三方良しや知り合いのクチコミが大事にされていました。戦後の高度成長期以降はマス・マーケティングによる新規顧客獲得が日本で主流の手法になりました。顧客を獲得するために「大量に○○する」がキーワードだったようです。現在ではソーシャルメディアの発展の影響を受けて、ファンによるクチコミの影響力が大きくなりました。江戸時代の商人たちのように顧客のクチコミが大事にされるスタイルに回帰しつつあるのが面白かったです。

これからはマス・マーケティングに加えて、「企業とファンがともにサービスを作り上げ、クチコミが広がっていく」という仕組み作りも大事にする必要がありそうです。既存顧客(なじみの客)を非常に大事にする「アンバサダープログラム的思考」が企業担当者・広告クリエイターに求められていると言えるでしょう。

関連情報

徳力さんは「アンバサダープログラム的思考」を解説した講座をUdemyで開催しています。

【関連ページ】
▼ソーシャルメディア時代のマーケティングの基本と事例
https://www.udemy.com/social-media-marketing-jp/

このWeb講座は図解が多く、大変わかりやすいお話でした。本書と合わせてご参照なさると理解が深まるのではないでしょうか。

今回紹介した書籍

顧客視点の企業戦略 -アンバサダープログラム的思考-
藤崎実 徳力基彦

4883353923
宣伝会議 2017-03-01
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Author Profile

片岡杏紗(あさ)
国家資格キャリアコンサルタント。JCDA認定CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)。元IT系講師。ITmediaオルタナティブ・ブログでは、「教育ICT」に関する記事を連載中。http://blogs.itmedia.co.jp/kataoka/
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